趣味やスキルアップのテーマとして不動の人気を誇る「語学学習」。グローバル化で海外との距離がますます近くなった現在、英語以外の言語にも興味を持つ方が増えています。
そこで今回は、各種ランキングを参考にしたおすすめ語学7選をご紹介します。参考にしたのは「母語人口」「使用人数」「影響力のある言語」の3つのランキング。共通して上位にランクインしている言語からピックアップしてご紹介します。
日本人にとっての学習難易度も掲載していますので、学習する言語選びの参考にしてくださいね。
※「影響力のある言語」…2016年にWorld Economic Forumが発表した「The most powerful languages in the world 」という調査。「地理力」「経済力」「コミュケーション力」「知識力・メディア力」「外交力」の5つの項目を数値化してランキングしたもの。
※参考データは最後に掲載しています。
1. 中国語
使用人数…1位(10億7千5百万人)
影響力…2位
学習難易度★★☆☆
もっとも話者が多く、外国人が一般的に学ぶ標準語が「北京語」。そのほか「上海語」「広東語」「台湾語」など大きく7種類の方言があり、それらは「7大方言」と呼ばれています。
中国語には、「簡体字」「繁体字」2つの文字体系があります。中国・シンガポール・マレーシアなどで使われているのが簡体字で、一般的に外国人が学ぶ際にも使用される文字です。一方、台湾・香港・マカオでは繁体字が使用されています。
中国語は、使用する漢字の約30%が日本語の意味と共通しており、簡体字がシンプルで覚えやすい点などから、日本人が比較的習得しやすいと言われています。
【発音】
中国語の発音の特徴は、漢字の読み方をアルファベットで表した「ピンイン」のほか、音程を表す「声調」が存在する点です。声調には第1声から第4声まで4種類あり、ピンインが同じであっても、声調が変わるとまったく異なる意味になるほど重要なもの。中国語学習の大きな難所は、このピンイン・声調にあると言えるでしょう。
中国語は、世界でもっとも多くの人々とコミュニケーションでき、国際ビジネスの場でも注目が高まっている言語の1つ。将来性の高さからも中国語学習はおすすめです。
2.英語
使用人数…2位(5億1千4百万人)
影響力…1位
学習難易度★★★☆
国連の公用語の1つであり、世界のあらゆる地域で使用されている点、インターネット上の使用言語でもっとも多い点などから、英語は事実上の世界共通語と言えるでしょう。
英語は、26文字のアルファベットで表されます。かつてはアルファベットを一筆書きにした筆記体が主流でしたが、現在では、署名など特別な場合を除きブロック体が主流です。
【発音】
日本語の母音は「あいうえお」の5つですが、英語には母音だけでも26種類あります。さらに、単語と単語を繋げて発音する「リンキング」や、発音を省略する「リダクション」などが、英語のリスニング・スピーキングを難しくしている要因に挙げられます。世界で英語を話す人の7割は非ネイティブ。英語の発音を気にする日本人は多いですが、「発音はそれぞれ違って当たり前」が世界の常識と言えるでしょう。
英語の魅力はなんといっても、世界各地で使える点と、世界のあらゆる情報にリーチできる点です。学習言語に迷ったら、まずは英語を学んでおくと間違いないでしょう。
3.スペイン語
使用人数…4位(4億2千5百万人)
影響力…4位
学習難易度★★☆☆
いわゆる標準語とされるのが「カスティーリャ語」でマドリッドを中心とするスペイン中・北部で使われています。そのほかバルセロナを中心とする地域で使われている「カタルーニャ語」、バレンシア州で使われている「バレンシア語」などがあります。
スペイン語には、アルファベット26文字のほか、ÜとÑの記号付き文字があります。また、スペイン語では感嘆符や疑問符を文頭と文末に置き、さらに文頭の記号は逆向きにするというルールがあります。SNSなどカジュアルな文章では文頭の記号が省略されることはありますが、正式な文章では必須とされています。
【発音】
スペイン語は日本人にとって発音しやすい言語と言われています。その理由は、日本語と同様「a、e、i、o、u」の5つの母音である点。母音と子音の発音を覚えれば、いわゆるローマ字読みに近い感覚で発音することができます。単語の中でもっとも強く発音する部分にアクセント記号をつけますが、位置によって意味が変わる単語もあるため注意が必要です。
母語話者が多い点や日本人が習得しやすい点、またスペイン語圏には旅行先として魅力的な国や地域が豊富な点などが、スペイン語を学ぶメリットとして挙げられます。
4.ロシア語
使用人数…5位(2億7千5百万人)
影響力…6位
学習難易度★★★★
中国と同じく広大な土地に他民族を抱えるロシアですが、ロシア語には中国語のような方言がありません。地域によって語彙や発音に多少の違いがある程度です。
ロシア語では、33文字のキリル文字を使用します。キリル文字は、ブルガリア語やセルビア語にも使用されており、ローマ字とほぼ同じ文字と、独自の文字の組み合わせで構成されています。33文字を覚えることはそれほど難しくありませんが、ローマ字と同じ字形でありながら音がまったく違う文字に難しさを感じることが多いようです。
【発音】
ロシア語は発音が難しいことで知られています。その理由の1つが、日本語や英語にない音が多いことです。さらに、品詞の変化によってアクセント位置が変わる、アクセントの有無で母音の発音が変わるといった複雑なルールも、発音が難しいと言われる理由に挙げられます。
学習難易度は高いですが、キリル文字やロシア語の柔らかく美しい響きに魅了されて学習する方が多くいます。また、ロシア語圏の奥深い文化・芸術に触れられる点も、ロシア語を学ぶ醍醐味と言えるでしょう。
5.ポルトガル語
使用人数…8位(1億9千4百万人)
影響力…9位
学習難易度★★☆☆
16世紀中頃の鉄砲伝来以降、日本とポルトガルとは盛んに交易が行われました。その際、ポルトガルから日本に伝来し、その後、日本語として定着した言葉が数多くあります。(例)パン・カボチャ・テンプラ・ボタン・カルタ・カッパなど
ポルトガル語は、英語と同じ26文字のアルファベットを使用します。英語との大きな違いは、文字に「綴り字記号」というアクセントや発音を表す記号がある点です。また、英語では特定の名詞は文頭を大文字にするルールがありますが、ポルトガル語では、文の始まりと固有名詞のみ文頭を大文字にする、という違いがあります。
【発音】
英語やフランス語と比べてローマ字読みに近い発音のため、比較的日本人にも習得しやすいとされています。ただし、母音が9つある点、アクセントの有無によって発音が変化する点、鼻母音や喉を鳴らす発声など、独自のルールを覚えて発音をマスターするには、それなりの訓練が必要となります。
ポルトガル語のメリットは、日本人にとって比較的容易に吸収できる点と、ポルトガル語を学ぶことによって、スペイン語やフランス語などの習得もスムーズになる点などが挙げられます。
6.ドイツ語
使用人数…12位(9千9百万人)
影響力…7位
学習難易度★★★☆
近代の日本はドイツから様々な影響を受けており、多くのドイツ語由来の言葉が日本語として定着しています。(例)リュックサック・ゲレンデ・ゼッケン・ワクチン・アルバイトなど
ドイツ語には、英語と同じ26文字のアルファベットのほか、アルファベットのAOUの上に2つの点をつけた「ウムラウト」と、βに似た文字の「エスツェット」という4種類の特殊文字があります。
【発音】
ドイツ語は比較的日本人にも発音しやすいとされています。理由の1つは、ドイツ語はほとんどがローマ字読みであるという点。また、フランス語や英語・中国語などにあるような発声自体が難しい音が少ない点、アクセントのルールがシンプルな点も、ドイツ語が発音しやすい理由に挙げられます。
ドイツ語には、英語と似ているため比較的学びやすいというメリットがあります。さらに、ドイツはヨーロッパ1の経済大国であり、スイスやオーストリアなどドイツ語圏の国々も経済レベルが高いことから、将来性の高い言語と言えるでしょう。
7.フランス語
使用人数…10位(1億2千9百万人)
影響力…3位
学習難易度★★★☆
言語系統としてはスペイン語やイタリア語に近く、英語とはやや距離があるためフランス人は英語が苦手。フランスで英語が通じないことはよく知られています。
フランス語には、アルファベット26文字のほか、文字に装飾がついた「綴り字記号」が7種類あります。綴り字記号がつくことで、単語の発音や意味が変化します。café(カフェ)やgarçon(ギャルソン)などの綴り字記号がついた単語は、日本でもよく目にするフランス語です。
【発音】
フランス語は発音が難しいと言われます。母音が12種類ある点や、鼻から息を抜くような鼻母音や喉を鳴らす音など、その独特の発音を難しいと感じるケースが多いようです。しかし、英語と比べてフランス語はローマ字読みに近く規則性も高いため、英語よりも発音しやすいという意見もあります。
フランス語は、その滑らかで表現豊かな発音から「世界で1番美しい言語」と言われています。また、観光大国であるフランスの魅力自体も、フランス語を学ぶ大きなメリットと言えるでしょう。
英語だけじゃない。語学学習で人生を楽しく豊かに!
今回は、各種ランキングから選ぶおすすめ語学として、中国語・英語・スペイン語・ロシア語・ポルトガル語・ドイツ語・フランス語の7つをご紹介しました。興味が湧いた言語はありましたでしょうか?
今回おすすめした言語以外にも、ランキング上位にはヒンディ語やアラビア語があります。ヒンディー語は「デーヴァナーガリー文字」、アラビア語は「アラビア文字」という独自の文字を使います。学習難易度は非常に高いですが、使用人数や影響力の面でポテンシャルの高い言語ですので、興味がある方はぜひ調べてみてくださいね。
他言語を学ぶことは、単にコミュニケーションツールが増えるだけでなく、思考や人生の幅が広がる貴重な経験になります。ぜひ語学学習を通して人生の新たな扉を開きましょう!
※参考データ
「世界の母語人口」/文部科学省
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/004/siryo/attach/1379956.htm
「世界の言語別使用人数」/文部科学省
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/004/siryo/attach/1379958.htm
「The most powerful languages in the world 」/World Economic Forum
https://www.weforum.1org/agenda/2016/12/these-are-the-most-powerful-languages-in-the-world/
「学びやすい外国語、難しい外国語」/DILA
https://dila.co.jp/business/policy/