日本の代表的な健康食品といえば、「豆腐」を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。豆腐は古くから東アジア・東南アジアで食べられてきましたが、近年は欧米諸国でもヘルシーフードとして注目を集めています。
今回は、知っているようで意外と知らない豆腐の定義や種類について解説。また、豆腐の栄養素や海外でどのように食べられているかもご紹介します。奥深い豆腐の世界を見てみましょう!
豆腐の定義
豆腐製造の業界団体によると、豆腐は「大豆に水を加えた液体から、タンパク質その他の可溶成分を抽出した液体に、凝固剤を加えた食品」と定義されています。簡単に言うと、「豆乳に凝固剤を入れて固めたもの」が豆腐です。
凝固剤として有名な「にがり」には、天然にがりと精製されたにがりがあります。天然にがりは、「粗製海水塩化マグネシウム」と表記されるのが一般的。精製されたにがりは、「塩化マグネシウム」「粗製塩化マグネシウム」などと表記されています。
にがり以外の凝固剤には「硫酸カルシウム」「グルタノデルタラクトン」があり、固める力が強いため加熱調理向きの豆腐に使われます。大豆の味を感じやすいのは、にがりを使った豆腐だといわれています。
また、業界団体は、大豆含有量によって商品の表示方法を次のように定義づけしています。
<大豆含有量>
10%以上…「とうふ」
8%以上…「調整とうふ」
6%以上…「加工とうふ」
つまり、大豆本来の味を感じたい場合は、「にがり」を使った「とうふ」が向いていると言えるでしょう。ぜひ、凝固剤や大豆含有量 にも着目して豆腐を選んでみてくださいね。
豆腐の種類
豆腐の種類は、製法の違いによって「木綿」「絹ごし」「充填」「寄せ」の4種類に分けられます。
木綿豆腐
木綿豆腐は、日本でもっとも古くからある製法の豆腐です。豆乳に凝固剤を加え、一度固まったものを崩してから型に入れます。それに圧力をかけて圧搾することで、しっかりとした硬さの木綿豆腐が生まれます。
圧搾の過程で水分や油分などの上澄みが除かれるため、タンパク質の割合が高いのが木綿豆腐の特徴です。
絹ごし豆腐
絹ごし豆腐は、木綿豆腐にある「圧搾」の工程がないものを指します。持ち味の滑らかで柔らかな食感は、圧搾を行わないことにより生まれています。
圧搾しない分固まりづらいため、濃い豆乳を用いて固まりやすくしていますが、人工の凝固剤の出現が絹ごし豆腐普及の後押しとなりました。
充填豆腐
パックに水が張られておらず、パックと豆腐が密着しているのが「充填豆腐」です。木綿や絹ごしは固まってからパックに入れる一方、充填豆腐は液状のままパックに入れ、加熱して凝固させます。
機械による大量生産に向いた製法で、戦後の機械化により普及しました。加熱凝固で殺菌されるため、日持ちするという特徴があります。
寄せ豆腐
木綿豆腐の製造過程で、圧搾する前の固まりかけた豆腐をすくって容器に盛ったのが「寄せ豆腐」です。「汲み豆腐」「汲み上げ豆腐」は寄せ豆腐と同じものです。
ザルに盛った寄せ豆腐は「ざる豆腐」と呼ばれ、ザルの目で水切りされるため味わいが濃いのが特徴。「おぼろ豆腐」は、寄せ豆腐より熟成時間を短くし、より柔らかい段階ですくったものです。
豆腐に含まれる栄養素
ヘルシーフードの代名詞ともいえる豆腐。具体的にどんな栄養素が含まれているのかを見ていきましょう。
✅タンパク質
豆腐に含まれる栄養素の代表といえば、タンパク質です。タンパク質は、皮膚や筋肉・臓器のほか、ホルモンや免疫抗体の材料にもなる、美容・健康維持に欠かせない重要な栄養素です。中でも、圧搾して上澄みが除かれる木綿豆腐のタンパク質量が多くなっています。
<100gあたりのタンパク質量>
木綿…6.6g
絹ごし…4.9g
充填…5g
✅リノール酸
豆腐の油には、必須脂肪酸の1つ「リノール酸」が含まれています。リノール酸には、血中のコレステロール濃度を下げる効果があるとされています。
また、肌の保湿要素であるセラミドの材料になり、肌のターンオーバーを促したり潤いを保ったりと、美肌効果も期待できます。
✅レシチン
レシチンは、大豆などに含まれる不飽和脂肪酸の1つです。血管内のコレステロールを溶かして血流をよくしたり、内臓脂肪を減少させたりする効果があります。
また、レシチンは脳の神経細胞の材料となるため、記憶力を高め脳の老化を予防する効果があるとされています。
✅サポニン
サポニンは、植物の根・葉・茎などに含まれる配糖体の一種です。肥満予防・血流改善・免疫力アップ・肝機能アップなど、さまざまな健康効果があります。
近年は、サポニンの癌・エイズの抑制効果も報告され、期待が集まっている栄養素の1つです。
✅イソフラボン
イソフラボンはサポニンと同じ配糖体の一種で、女性ホルモンと似た働きをすることで知られています。更年期の女性ホルモン減少による諸症状の予防・改善効果があるとされています。
また、肌の弾力を保ってシワを改善する効果もあり、さまざまな化粧品や美容サプリメントに取り入れられています。
✅オリゴ糖
オリゴ糖は、ブドウ糖などの単糖が複数結合した糖質の一種です。オリゴ糖は腸内細菌のエサとなって善玉菌を増やし、腸内環境を整える効果があります。
血糖値や中性脂肪を上げにくい身体にいい糖として、さまざまな食品に利用されています。
✅カルシウム
骨や歯のもととなるカルシウム。骨粗鬆症の予防効果のほか、神経伝達を正常に保ち、緊張やイライラを鎮めてストレスを和らげる効果があります。タンパク質同様、カルシウムも木綿豆腐により多く含まれています。
<100gあたりのカルシウム量>
木綿…120g
絹ごし…43g
充填…28g
✅ビタミン類
豆腐には、ビタミンE・B1・B2・ナイアシンなどビタミン類も豊富に含まれています。これらは、美肌効果や代謝促進によるダイエット効果のあるビタミン類で、美容・健康のためにも積極的に摂りたい栄養素です。
アレンジが新鮮!海外の豆腐メニュー
ベジタリアンが多い海外では、肉の代わりのタンパク源として重宝されている豆腐。日本人がなかなか発想しない、海外ならではの斬新な豆腐メニューをご紹介します。
クリスピー豆腐
水切りした豆腐をサイコロ状に切り、軽く塩を振ってオーブンで20〜30分焼くだけです。カレーパウダーやガーリックソルトなど、お好みのフレーバーで味付けしましょう。
おやつやおつまみ、サラダのトッピングにもおすすめです。
豆腐スクランブル
ビーガンの方が卵の代替品として豆腐を使うこともあります。水切りした豆腐を潰して、スクランブルエッグのように炒めて食べるレシピが人気。
ゆで卵代わりに、マヨネーズと和えてサンドウィッチの具に使われることもあります。
豆腐スムージー
牛乳や豆乳の代わりに、豆腐を使ったスムージーも人気。腹持ちがよく、ダイエット中のおやつや置き換え食にぴったりです。イチゴやブルーベリーなど酸味のあるベリー系のフルーツによく合います。
はちみつやレモンを足すと、豆っぽさが軽減されておいしくなりますよ。
奥深い豆腐の世界を知って、さらにおいしくヘルシーに!
おいしくてヘルシー、しかも安価でどこでも買える優秀食材・豆腐。今回は、そんな豆腐の種類や栄養素、海外で生まれた斬新なアレンジメニューをご紹介しました。豆腐の奥深い世界を知って、さらにおいしく自由に豆腐を楽しんでみてくださいね!