ダイエットやボディメイク目的で行うことの多い筋トレ。実はアンチエイジングとしてもメリットが多いことをご存知でしょうか。その理由は、筋トレによってアンチエイジング効果のあるホルモンの分泌が促進されるからです。
今回は、筋トレで分泌が促進されるホルモンの中でも、特にアンチエイジング効果が期待できるものについて解説します。心も身体も若々しくありたい!という方は、ぜひ無理のない範囲で筋トレを始めてみてくださいね。
筋トレで分泌促進!アンチエイジング効果のある5つのホルモン
1.成長ホルモン
成長ホルモンは、正式名称「ソマトトロピン」と言い、脳の下垂体から分泌されるホルモンです。成長期には、骨を伸ばし筋肉などを発達させて成長を促す役割がありますが、大人になると、身体の各器官の代謝を促す役割を担っています。
成長ホルモンが別名「若返りホルモン」と呼ばれるのは、身体のあらゆる器官の代謝=生まれ変わりに作用しているからです。米国や日本の美容医療機関では、抗老化医療として成長ホルモン補充療法が行われるほど、成長ホルモンの高いアンチエイジング効果が注目されています。
✅肌のキメ・色ツヤを改善する
✅肌の弾力性を増す
✅紫外線によるシワを減らす
✅毛髪や爪を健康にする
✅体脂肪を減らす
✅筋力をアップする
✅骨を丈夫にする
成長ホルモンの分泌は、思春期にピークを迎え加齢と共に減少しますが、筋トレ(無酸素運動)により分泌量を増やせることが分かっています。筋トレにより増加する血中の成長ホルモン濃度は約200倍。これは、もっとも成長ホルモンの分泌が多い、睡眠時に匹敵する量です。
2.マイオカイン
マイオカインは、筋肉の収縮により分泌される筋肉作動物質で、筋肉から分泌されるホルモンの総称です。筋肉から分泌したマイオカインは、血流を介して脳や血管・肝臓・脂肪細胞などさまざまな臓器の代謝や機能調節に作用しています。
メタボや認知症の予防、ガン抑制など広範囲に影響を及ぼすことから、「抗老化ホルモン」として世界中で研究対象となっています。
さらに、マイオカインが注目される理由は、皮膚細胞の活性とコラーゲンの産生に関与していることが分かったからです。肌にハリや弾力を与えるアンチエイジング成分として、美容業界からも熱い視線を注がれています。
✅肌のハリ・弾力を増す
✅脂肪を分解しやすくする
✅筋肥大を促す
✅糖・脂質の代謝を促す
✅骨を強くする
✅血管の柔軟性を高める
✅認知機能を高める
加齢による筋肉量・筋力の低下でマイオカインの分泌量は減少していきますが、筋トレなどで筋肉量を増やすことで分泌量を増やすことが可能です。
3.女性ホルモン
女性ホルモンには、卵巣から生産される「エストロゲン」と「プロゲステロン」の2種類あります。アンチエイジング効果があることで知られているのが、エストロゲンです。エストロゲンは、妊娠や出産のほか、皮膚や骨・内臓・筋肉など全身の働きに関与しています。
エストロゲンは、肌の潤いやツヤを守り、脂肪燃焼を促す効果があることから「美人ホルモン」とも呼ばれています。女性のアンチエイジングにとって重要なキーになるのが、女性ホルモンのエストロゲンなのです。
エストロゲンは、20代をピークに分泌量が減っていき、閉経後はほとんど分泌しなくなります。40歳頃から太りやすくなったり、自律神経が乱れたり、更年期障害で体調を崩したりするのには、エストロゲンの減少が深く関わっています。
女性ホルモンの効果を得るには、エストロゲンとプロゲステロンのバランスを整えることが重要です。筋トレで血行が促されることで、脳や卵巣が活性化し、女性ホルモンのバランスが整うとされています。
✅肌や髪に潤い・ツヤを与える
✅肌の弾力性を増す
✅コレステロールの排出・分解を促進
✅睡眠の質を上げる
✅自律神経を安定化させる
✅脳の働きを活性化させる
✅骨を丈夫にする
過酷な筋トレは却って女性ホルモンのバランスを乱す可能性があります。重すぎない重量で、回数を意識したトレーニングを行いましょう。
4.セロトニン
セロトニンは、ドーパミン・セロトニン・ノルアドレナリンからなる三大神経伝達物質の1つで、別名「幸せホルモン」と呼ばれています。脳を覚醒させたり、意欲を促したり、安心感や平常心をもたらしたりするなど、メンタルを整える重要な役割を担っているのがセロトニンです。
セロトニンが不足すると、やる気・意欲の低下、ストレス、疲労、うつ症状のリスクが高まります。メンタルから健康で若々しくあるためには、セロトニンの存在がとても重要なのです。
✅表情が明るくなる
✅目がパッチリ開いて背筋が伸びる
✅ポジティブで活動的になる
✅頭がスッキリして回転がよくなる
✅睡眠の質が上がる
✅自律神経が整う
加齢とともにセロトニンの分泌量は減少しますが、日光や運動で分泌量を増やすことが可能です。セロトニンの分泌量は、一定のリズムで筋肉を収縮させる運動で増えやすいとされています。スクワットのほか、バイク漕ぎやウォーキングなどの有酸素運動も有効です。
5.ドーパミン
三大神経伝達物質の1つであるドーパミンは、別名「やる気ホルモン」と呼ばれています。ドーパミンは、やる気・達成感・快感・感動などの感情をもたらすほか、情報を記憶・処理する能力「ワーキングメモリー」にも関与しています。
ドーパミンが不足すると、「やる気が起きない」「無関心・無感動」「学習・仕事の効率低下」などの原因になります。セロトニンと同様、アクティブに活動できるメンタルを維持するうえで、ドーパミンは重要な役割を担っているのです。
✅やる気が出る
✅気分が前向きになる
✅記憶力・集中力が高まる
✅食欲が抑制されることによるダイエット効果
✅性機能の向上
ドーパミンの分泌量は、20歳頃をピークに加齢とともに減少しますが、筋トレの刺激によりドーパミンの分泌を促すことが可能です。運動後の達成感により、さらにドーパミンの分泌が活性化し、「また運動したい」というモチベーションにも繋がるのです。
アンチエイジングにおすすめの「スロトレ・スクワット」
スロトレとは、スロートレーニングの略称で、ゆっくりと行う筋トレのことを指します。ゆっくりした動作の筋トレにより、最大筋力の50%の負荷であっても、筋肉に十分な負荷をかけることができます。力のない女性や中高年の方におすすめの筋トレ方法です。
特に成長ホルモンと女性ホルモンは、通常の筋トレよりスロトレの方が多く分泌されると言われています。効率よくホルモンの分泌量を増やすには、筋肉量の多い下半身をスクワットなどで鍛えるのが良いでしょう。筋トレのアンチエイジング効果を最大限にするなら、スロトレ・スクワットがおすすめです。
ホルモン以外にも!筋トレによるアンチエイジング効果
まず、筋トレで筋肉量が増えることにより、血流が良くなります。血流が良くなると毛細血管の隅々にまで栄養が行き渡り、 肌のシミ・シワ・たるみ・乾燥といった症状を予防することができます。
さらに、猫背の人は、見た目年齢が5歳も上に見えるという調査もあるほど、アンチエイジングには姿勢も重要です。筋トレにより、正しい姿勢を維持する 「抗重力筋」が鍛えられ、若々しい印象を与えることができるのです。
心も身体も若々しく!筋トレでアンチエイジングを始めよう
今回は、筋トレで分泌が促進されるホルモンのうち、特にアンチエイジング効果のある成長ホルモン・マイオカイン・女性ホルモン・セロトニン・ドーパミンの5つについて解説しました。
また、アンチエイジング効果を最大限に高める「スロトレ・スクワット」や、筋トレの血流アップ・姿勢改善効果もご紹介しました。ぜひ無理のない範囲で筋トレを始めて、心も身体も若々しく健康的に過ごしてくださいね。