食物繊維が身体にいいことは知っているけど、具体的な効果を知らないという方も多いのではないでしょうか。今回は、食物繊維がもたらす美容・健康効果を詳しく解説します。
また、食物繊維を豊富に含むおすすめの食品も紹介しますので、ぜひ毎日の食生活に取り入れてくださいね。食物繊維の優れた効果を活かして、毎日を健康的に過ごしましょう!
食物繊維とは?

食物繊維とは、小腸で消化・吸収されずに大腸まで到達する食品成分のことです。長年、食物繊維は役に立たないものと認識されていましたが、後に健康効果が明らかになり、積極的な摂取が推奨されるようになりました。
厚生労働省が推奨する食物繊維の摂取目標は、成人男性で1日21g以上、成人女性で1日18g以上。しかし、近年の日本人の平均摂取量は1日あたり14g前後と、多くの方が「食物繊維不足」であるとされています。
厚生労働省が「1日あたりプラス3〜4gを目標に」と提唱しているように、健康維持のためには、普段の食生活で食物繊維をプラスして積極的に摂取する必要があるのです。
水溶性食物繊維と不溶性食物繊維
食物繊維は、水に溶ける水溶性食物繊維と、水に溶けない不溶性食物繊維の2つに大別できます。それぞれで生理作用は異なりますが、どちらも健康に欠かせない役割を果たしており、バランスよく摂取することが重要です。
ここからは、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の健康効果と、それぞれが多く含まれる食品をご紹介します。
水溶性食物繊維の健康効果
1.ダイエット効果
水に溶けるとゲル状になって胃腸内をゆっくり移動するため、お腹が空きにくいという特徴があります。また、ゲル状になって量が増すことで満腹感を得やすく、ダイエット中の食べ過ぎを防ぐ効果も。
さらに、食物繊維を摂取することで、食後の血糖値の上昇が抑えられます。血糖値の上昇が緩やかになると、糖を脂肪に変えるインスリンの分泌も抑えられてダイエット効果が期待できるのです。
2.便秘改善効果
水分を含んで量を増した食物繊維が腸壁を刺激することで、排便を促す効果があります。さらに、食物繊維は腸内で善玉菌のエサとなるため、善玉菌が増えて腸内環境が整い、便秘や下痢を改善する効果が期待できます。
3.コレステロール値を下げる効果
コレステロールは「脂質」の1種で、人の身体に必要な成分です。ただし、コレステロールの量が体内で増えすぎると、動脈硬化などの病気の原因になります。
水溶性食物繊維を摂ると、コレステロールを吸着して一緒に体外に排出されるため、血中のコレステロール値を下げる効果があります。
また、ナトリウムも排出する作用があるため、むくみや高血圧の予防も期待できるのです。
4.免疫力を高める効果
腸内には、善玉菌・悪玉菌・日和見菌の3種類の細菌が棲んでおり、それぞれ2:1:7の割合が理想的とされています。腸内環境を整えるためには、悪玉菌に対して、善玉菌が常に優勢な状態を保つことがポイントです。
人の免疫細胞の7割は腸に存在しており、腸内環境と免疫力は密接な関係。善玉菌のエサとなる水溶性食物繊維を摂ることで、善玉菌優勢の健康的な腸内環境となり、免疫力を高める効果が期待できるのです。
水溶性食物繊維が多く含まれる食品
わかめなどの海藻に多く含まれるイメージの水溶性食物繊維ですが、野菜や果物など多くの食品に含まれています。

不溶性食物繊維の健康効果
1.ダイエット効果
不溶性食物繊維は、いわゆる「繊維質」のためよく噛んで食べる必要があります。よく噛んで食べることで満腹中枢が刺激され、少量でも満腹感を得られて食べ過ぎを防止する効果があるのです。
また、よく噛んでゆっくり食事することで食後のエネルギー消費量が増え、肥満予防の効果が期待できるとされています。
2.便秘改善効果
不溶性食物繊維にも便秘改善の効果があります。不溶性食物繊維は水に溶けにくいため、水分を吸収して便の容量を増やします。便の量が増えることで大腸が刺激され、排便が促されて便秘改善効果が期待できるのです。
3.腸内の毒素を排出する効果
不溶性食物繊維も、善玉菌のエサとなって腸内環境を整える作用があります。また、発がん性物質など腸内の有害物質を体外へ排出することで、大腸がんの予防効果も期待できるとされています。
不溶性食物繊維が多く含まれる食品
主にボソボソとした繊維質の食品に多く含まれるのが不溶性食物繊維です。穀類・納豆・ごぼうなど、水溶性・不溶性の両方を多く含む食品もあります。

知っておきたい「β-グルカン」のパワー!
β(ベータ)-グルカンとは、食物繊維の一種で、ブドウ糖や果糖などが多数結びついた多糖類です。β-グルカンは、きのこ類(舞茸・椎茸)・麦類(オーツ麦・大麦)などに多く含まれています。
β-グルカンの健康効果
近年、β-グルカンの優れた健康効果が研究により明らかになってきました。β-グルカンには、「血糖値の急上昇を抑える」「腸内環境を整える」「コレステロールを下げる」効果があり、世界各国のダイエットや美容・健康に関心の高い人たちから注目を集めています。
さらに、β-グルカンには、免疫細胞の働きを活性化させる機能があり、ウイルスによる病気やアレルギー症状、ガンを抑制する効果もあると考えられています。β-グルカンは、健康食品や創薬の分野でも期待を集める、今、注目の成分なのです。
β-グルカンを豊富に含むグラノーラ
β-グルカンを豊富に含む食品といえばグラノーラです。β-グルカンには、最初に食べた食事だけでなく、次に食べた食事の血糖値の上昇も抑える「セカンドミール効果」があります。
また、朝食でβ-グルカンを摂った場合、昼食だけでなく夕食の糖質吸収も抑えることが分かってきました。つまり、グラノーラを朝に食べることで、1日を通して糖質の吸収を抑えることができるのです。
時短・簡単で栄養バランスに優れ、さらに1日中糖質コントロールをしてくれるグラノーラ。ダイエットや健康に関心のある方は、ぜひ朝食にグラノーラを取り入れてみてください。
水溶性食物繊維と不溶性食物繊維。バランスよく取り入れて健康な毎日を!
食物繊維には水溶性と不溶性の2種類あり、どちらも健康維持に欠かせない役割があることが分かりました。よく知られる腸内環境を整える効果のほか、血糖値やコレステロール・免疫力など、病気を予防する重大なファクターが食物繊維なのです。
近年の食生活は食物繊維が不足しがちになるため、意識して積極的に摂るように心がけてください。食物繊維の効果を最大限に活かして、健康的な毎日を過ごしてくださいね。