夏になると「身体がだるい」「食欲がない」といったいわゆる夏バテの症状に悩む方も多いのでは。実は、夏の不調は身体の冷えが原因のことも多いのです。
今回は、身体の冷えで起こる症状と、おすすめの冷え対策6選をご紹介します。冷えを予防し、身体を温める生活習慣を取り入れて夏の不調を改善しましょう。
意外に身体が冷えやすい夏。その原因は?
暑い屋外とエアコンの効いた涼しい室内との急激な気温差は、身体にとって大きな負担です。頻繁な気温差によって体温を調整する自律神経が乱れ、手足や内臓の冷えに繋がります。
また、エアコンの冷気は床近くにたまるため足元が冷える原因に。ふくらはぎは第二の心臓と言われ、血液を心臓に戻すポンプの役割をしています。足先やふくらはぎが冷えることで、血液循環が滞り全身の冷えや不調に繋がるのです。
さらに、夏は冷たい飲み物や食べ物に偏りがち。冷たいものを摂り過ぎると、胃腸を直接冷やしてしまい自律神経が乱れて体温調整に支障が出てしまいます。夏を快適に過ごすためのエアコンや冷たい飲食物が、却って身体の不調の原因にもなり得るのです。
見過ごせない夏の冷え。どんな症状が起こる?
冷えは万病のもとと言われるように、身体が冷えることで様々な不調を引き起こします。手足やお腹・腰など身体の一部が冷えて血行不良を起こし、しびれやむくみに繋がることも。
また、冷えが内臓まで進むと、腰痛や胃痛・腹痛・下痢の原因になります。冷えで首・頭周りの筋肉が緊張して、肩こりや頭痛を引き起こす場合も。手足は冷たいのに、上半身や顔だけが熱くなる「冷えのぼせ」も、冷えなどによる自律神経の乱れが原因とされています。
特に内臓の冷えは免疫力を低下させ、風邪や感染症にかかりやすくなる恐れがあるので要注意。「体質だから」と放置せず、手足や内臓を冷やさない対策が重要です。
身体を外と中から温める!おすすめ冷え対策6選
冷え対策は、身体の外と中の両面からアプローチすると効果的です。簡単にできる冷え予防や身体を温める習慣をご紹介しますので、ぜひ取り入れてみてください。
①温かい飲み物を飲む
暑いとつい冷たい飲み物ばかり飲んでしまいがちですが、内臓を冷やすので控えめに。温かい飲み物を選びましょう。白湯や発酵系の紅茶・ほうじ茶がおすすめです。血行を促進して体を温める「カカオポリフェノール」が含まれるココアもよいでしょう。
生姜にも身体を温める成分「ショウガオール」が含まれています。お湯や紅茶、ほうじ茶にすりおろした生姜を加えた生姜茶がおすすめ。ハチミツを加えて甘みを足すと飲みやすさがアップします。
なお、緑茶とコーヒーに含まれるカフェインは、体温を下げる作用があるので冷え対策には不向きです。また、65℃以上の熱過ぎる飲み物は、食道がんのリスクが高まると言われていますので、少し冷ましてから飲みましょう。
②腸内環境を整える
内臓が冷えることにより、大腸の活動が弱まって便秘や下痢といった不調を引き起こします。身体を温める食材や、腸の活動を促す食材を積極的に摂って腸内環境を整えましょう。
身体を温める食材は、にんじん・ごぼう・ジャガイモなどの地中で育つ野菜が代表的。また、たまねぎにも血流を促して体を温める作用があります。反対に、トマトやきゅうりなどの夏野菜は身体を冷やすので加熱調理がおすすめです。
また、腸の活動を促す発酵食品と食物繊維を積極的に摂りましょう。納豆・キムチ・味噌・ヨーグルトなどの発酵食品から善玉菌が摂れるほか、身体を温める効果もあるので最適です。また、善玉菌のエサとなる食物繊維も野菜や海藻類からしっかり摂りましょう。
③3つの首を温める
エアコンで冷えた室内などでは、首・手首・足首の3つの首を保温するのが効果的。太い動脈が流れているこの3箇所を保温することで、効率よく全身の冷えを予防できます。ストールやレッグウォーマー・アームウォーマーなどで覆って冷たい空気に触れないようにしましょう。
また、カイロや温熱シートを貼ってお腹や腰を温めるのも効果的です。お腹は、おへそより下の下腹部に、腰はお尻の上の出っ張った骨あたりに貼ると、効率よく全身を温められます。カイロを肌に直接貼ると、低温やけどの恐れがあるので注意してください。
④ストレッチや運動をする
ストレッチで血流を促すことで、冷えの改善が期待できます。首・手首・足首を中心に、心地よい強度で回したり伸ばしたりして血流を促しましょう。また、全身に血液を送り出すふくらはぎのストレッチも効果的。座ったまま膝を伸ばしてふくらはぎにストレッチをかけたり、片方の膝の上にもう片方のふくらはぎを乗せて圧をかけたりする方法は、オフィスでも簡単にできておすすめです。
運動習慣がない方は、冷えにくい身体づくりのためにできる運動から取り入れてください。まずは、全身の筋肉を使うウォーキングがおすすめ。1日30分程度でも十分です。時間が取れない方は、「1駅歩く」「階段を使う」など生活の中でできることから始めましょう。
さらに運動できる方は筋トレを取り入れてください。身体の熱の発生源である筋肉量を増やすことで、冷えに強い身体を作ることができます。全身の筋肉量の7割を占める下半身を鍛えるのが効率的。1日30回を目安にスクワットを日課にするとよいでしょう。
⑤シャワーで済ませず湯船につかる
夏はシャワーで済ませがちですが、冷えの解消には湯船につかる入浴は欠かせません。湯船でしっかり体を温めることで、気温差で乱れた自律神経が整い睡眠の質も向上します。また、血流促進による疲労回復、むくみ改善、リラクゼーション効果など、夏バテ気味の心身をケアする効果が期待できるのです。
高過ぎる湯温や長湯は却ってストレスになるので、自分が心地よいと感じる湯温で、10〜20分を目安に入浴しましょう。どうしても湯船につかれないときは、41〜43℃に設定したシャワーを、足・お腹・腰・首にかけて温めるのも効果的。また、洗面器にお湯をためて手浴・足浴をしても、全身を温める効果が期待できます。
⑥睡眠環境を整える
夏は寝苦しさから睡眠不足になりやすく、自律神経が乱れたり疲労が蓄積したりする原因に。睡眠の質を落とさないよう環境を整えることが大切です。夏の快適な睡眠には、温度のコントロールや、パジャマ選びがポイントになります。
就寝中のエアコンは身体に負担がかかる印象もありますが、冷えすぎない温度設定であれば問題ありません。暑さで寝つけなかったり途中で目が覚めたりして睡眠の質が落ちる方が、却って心身には負担です。
快適に寝られる室温は25〜26℃程度とされていますが、個人差がありますので自分が快適に寝られる温度設定を見つけましょう。エアコンの風が直接当たると冷え過ぎるので注意してください。
また、パジャマは熱がこもりやすい化学繊維を避け、 吸湿性・通気性の高い綿や麻などの天然素材を選びましょう。薄手のガーゼや、肌に張りつきにくい凹凸加工のある素材がおすすめです。身体を締めつけないゆったりしたサイズを選びましょう。
身体の外と中から、冷えに負けない環境づくりを
暑い夏でも意外に身体は冷えに晒されています。冷えを放置すると、様々な不調の原因になりますのでしっかり対策しましょう。飲食物や冷え対策アイテムでの工夫はもちろん、運動・入浴・睡眠など生活習慣を少し変えるだけでも、冷えの改善は期待できます。身体の外と中の両面から、冷えに負けない環境を整えて夏を乗り切りましょう。